
三重で建築を楽しむ。
VISONの、自然と調和する空間デザイン
- VISON編集部
2026/09/06
山の地形を生かした、ひとつの村のような風景
VISONを歩いていると、建物が山の斜面に沿うように点在し、エリアを移るたびに景色が少しずつ変わっていきます。一つの大きな建物にすべての機能を集めるのではなく、それぞれの建物を広場や道でつなぐことで、ひとつの村を歩くような空間がつくられています。
こうした施設全体の計画を手がけたのが、建築家・赤坂知也氏(ORGA-Lab 赤坂知也建築設計事務所)です。
赤坂氏が大切にしたのは、建物そのものだけでなく、この土地の地形や自然を生かしながら、VISONならではの風景をつくること。
建物の間から見える山や空、内と外を緩やかにつなぐ軒下やテラスも、VISONを形づくる大切な要素です。
晴れた日の光、山に沈む夕日、雨の日に軒先から落ちる雫。季節や時間、天候によって変化する風景を眺めながら、施設内をゆっくりと歩いてみてください。
木の大屋根の下で、三重の食に出会う「マルシェ ヴィソン」
VISONの入口近くに位置する「マルシェ ヴィソン」。まず目に入るのは、4棟の大屋根が連なる外観です。
設計を手がけた建築家・赤坂知也氏が大切にしたのは、旬の食材とともに、三重の気候や季節を肌で感じられる空間づくり。大屋根の下には、屋内と屋外を緩やかにつなぐ、軒下のような空間が広がっています。買い物や食事をしながら、外の空気や季節の移ろいも楽しめる建築です。 屋根を支える木の柱や梁が印象的な、明るく開放的な空間。その下に、三重周辺の海の幸や山の幸を扱う店舗が並びます。店先を巡るたびに目に入る景色が変わり、市場のにぎわいとともに、歩く楽しさを感じられます。
マルシェ ヴィソンは、国際デザインコンペティション「A’ DESIGN AWARD 2023-2024」の「Building and Structure Design Category」において、最高ランクのプラチナ賞を受賞しています。
店先に並ぶのは、旬の野菜や果物、松阪牛、伊勢志摩から届く魚介など、地域の豊かな食材です。食材を選ぶだけでなく、店舗での食事や食べ歩きもお楽しみいただけます。
頭上に広がる木の屋根を見上げ、店先を巡り、その土地の味に触れる。木の温もりに包まれた空間の中で、マルシェならではのにぎわいを感じてみてください。

土壁の建物で、世界各地の食の道具に出会う「KATACHI museum」
陶芸家・造形作家の内田鋼一氏がプロデュースする「アトリエ ヴィソン」。食にまつわる道具やアート、職人の手仕事と出会えるエリアです。
なかでも、ひときわ存在感を放つのが「KATACHI museum」です。大きな納屋のような建物は、国内最大級の継ぎ目のない土壁で包まれています。この土壁を手掛けたのは、西川和也氏率いる左官職人集団「工房カズ」。伊勢神宮をはじめとする神社仏閣の左官仕事にも携わる職人たちです。建物にはあえて雨どいを設けず、雨が壁を伝い、時間とともに表情を変えていく様子も建築の一部として捉えています。
訪れた際には、土の色合いや、職人の手仕事によって生まれた壁の表情を、間近でご覧ください。
建物の中へ入ると、力強い外観とは対照的な、白く静かな空間が広がります。展示されているのは、内田氏が世界各地から集めた、時代も国も異なる「食の道具」です。展示された道具を眺めながら、「何に使われていたのだろう」「なぜこの形になったのだろう」と想像し、自分の感覚で自由に巡ることができます。
人が食べるために生み出してきた道具を通して、異なる土地の文化や暮らしに思いを巡らせる。KATACHI museumは、建物を見るだけでなく、食と人との長い関わりに触れられる場所です。
併設する「salon」では、内田氏の器のために特別に調えたコーヒーや、アンティークグラスで味わうワインをご用意しています。
(営業時間)11:00~17:00
(エリア)アトリエ ヴィソン
(電話番号) 0598-67-0725
(ミュージアム入場料)500円
※カフェ利用者はミュージアム入場無料
(定休日)不定休
緑の中に佇む白い建物「Gallery 泛白 uhaku」
KATACHI museumの近くに佇むのが、「白」をテーマにしたギャラリー&ショップ「Gallery 泛白 uhaku」です。
土の力強さを感じるKATACHI museumとは対照的に、外観も店内も柔らかな白に包まれています。
店内では、さまざまな作家による作品や器、アンティークやヴィンテージの品などを紹介しています。白をテーマに集められたものを眺めながら、素材や形、わずかな色合いの違いを感じてみてください。
小さな窓から販売される、真っ白なソフトクリームを味わうことも、この場所ならではの楽しみです。
(営業時間)10:00~17:00
(エリア)アトリエ ヴィソン
(電話番号) 0598-67-0725
(定休日)不定休
自然とつながる建築で、季節の薬草湯に浸かる「本草湯」
本草湯は、多気町にゆかりのある「本草学」を背景につくられた温浴施設です。本草学とは、薬になる植物や動物、鉱物などを研究する学問です。建築は、マルシェ ヴィソンと同じく、建築家・赤坂知也氏が手がけています。
ここでは、季節の移ろいを感じられる「本草七十二候」に沿った薬草湯を楽しめます。七十二候とは、一年を約5日ごとの72の時季に分けて季節を表すもの。江戸時代に日本の気候風土に合わせて改訂された「本朝七十二候」にならい、洒落を込めてアレンジしたのものが「本草七十二候」です。
休憩スペース「七十二候の間」に立つのは、本草七十二候にちなんだ72本の竹。静かな竹林の中に身を置くような空間で、湯上がりの時間をゆっくりとお過ごしいただけます。
浴場にも、水や光を生かした風景が広がります。内湯、外湯、水盤が一面につながって見える「水鏡」や、光と陰をモチーフとした「光陰」など、湯に浸かりながら、それぞれの空間の表情を楽しめます。
雨の日には、軒先から落ちる雨も風景の一部になります。水の音に耳を傾けながら過ごす時間も、晴れた日とは異なる本草湯の魅力です。
本草湯は、2023年の「アジア太平洋不動産賞(ASIA PACIFIC PROPERTY AWARDS)」において、レジャー建築部門とレジャー開発部門の2部門で、最高賞の5つ星を受賞しています。
(営業時間)入浴6:00~24:00 / サウナ10:00~22:00 / カフェ9:00~22:00
(エリア)本草エリア
(電話番号)0598-39-3900
(入浴料)
大人(中学生以上) 平日 1,200円 土日祝 1,500円
子ども(3歳~小学生まで) 平日 600円 土日祝 700円
※3歳未満は無料
(定休日)なし
VISONの建築は、建物を眺めるだけでなく、食や文化に触れ、自然の中で心身を休める時間とともにあります。VISONへお越しの際は、それぞれの空間で過ごす体験にも目を向けながら、施設内をゆっくりと巡ってみてください。
よくある質問
Q. VISONでは、どのような建築を楽しめますか?
山の地形に沿って建物が点在する、自然と調和した木造建築を楽しめます。木の大屋根や職人の手仕事による土壁、竹や自然光を生かした空間などが見どころです。建物だけでなく、その間から見える山や空、軒下やテラスにも目を向けてみてください。
Q. 建築を楽しむなら、どの施設が見どころですか?
木の大屋根が連なる「マルシェ ヴィソン」、継ぎ目のない土壁に包まれた「KATACHI museum」、白を基調とした「Gallery 泛白 uhaku」、竹や水盤、光と陰を生かした「本草湯」がおすすめです。素材や空間のつくり方の違いを感じながら巡っていただけます。
Q. 建築の見学と一緒に、食事や買い物も楽しめますか?
はい。「マルシェ ヴィソン」では食事や食材の買い物を、「KATACHI museum」では食の道具の展示や併設するsalonでのカフェ利用を楽しめます。「Gallery 泛白 uhaku」で器や作品を選んだり、「本草湯」で薬草湯に浸かったりと、それぞれの空間で過ごすことも、VISONの建築の楽しみ方です。
Q. 雨の日でも建築を楽しめますか?
はい。軒先から落ちる雨や、雨に濡れて表情を変える土壁など、晴れた日とは異なる建築の表情を楽しめます。屋外を移動する施設のため、傘などの雨具をご用意のうえ、足元に気をつけてお巡りください。